無伴奏組曲 《博物士》

unaccompanied suites -genesis-
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Thursday, June 30, 2005

liselsia

シンフォニック=レイン』 第2楽章

http://d.hatena.ne.jp/genesis/20050630/p1 より転記

 リセルシア・チェザリーニ(Liselsia Cesarini)シナリオ。人目を避けるように旧校舎でひとり,を唄う下級生。無口で,他人との接触を極端に拒む。しかし,主人公にだけは心を開くようになり――

 物語を駆動させる構造は,『ONE~輝く季節へ~』に類似。「両手で△△を抱え,口元に運ぶ小動物のような仕草」の空欄を,「パニーニ」にすればリセハンバーガーにすれば椎名繭になります。

 こう整理すると悪口に見えるかも知れませんけれど,批判しているわけではないです。ドラマツルギー(dramaturgy)のステレオタイプ(stereotype)を類型化していけば,多くはシェイクスピアに吸収されてしまうわけだし。

ポストモダンシミュラークル)においては,どの場面で類型を適用するかが価値につながるのだから。本作においては,ヒロインの均衡を考えると的確な配置でしょう。

 ただ,性的弱者としてのオタクを考察する場合,リセルシアのような《設定》の恋愛に弱いということは自覚しておいた方がいいと思う。私の“BITTERSWEET FOOLS”に対する申し立ても,問題認識は同じです。

 私見としては,状況を描くだけではなく,内面を掘り下げていって欲しかったところ。重苦しさに耐えきれない人が出てくるかもしれませんが……。『ひぐらしのなく頃に』の祟殺し編北条沙都子シナリオ)までやれとは言いませんから。

以下,コメント欄より(一部改変)。ネタバレあり。

# 黒胡椒 『でも、リセってはっきり言って人気ないんですよ……

トルタ>=フォーニファル>>>>アルリセ

っていう感じだと思う。』

# genesis 『人気が出ない,というのはわかりますね。捨て猫と同じで,「通りすがりに可愛がる喜び」と「ずっと面倒を見続ける苦労」の差でしょう。与え続けるのが《愛》だ,と綺麗事を言うことはできても,それが我が事となったら躊躇するのは無理からぬことではないでしょうか。▼ 本文でも指摘しましたけれど,リセルシアはシナリオの厚みに欠けます。表面的なところに留まってしまった感がある。これも本文で触れていますけれど,北条沙都子シナリオと状況配置が似通っています。比較してみるとわかるのですが,『ひぐらし』では先に個性を与えてからドラマを進めています。▼ これは,登場人物すべてが出てくるパロディ同人誌で出番が回ってくるかどうか――を想像してみるとわかりやすいでしょう。残念ながら,「リセにしか出来ないこと」というのは見当たらないように思えます。▼ 本文中でオタク論を展開したこととの関係ですが,ちょっと伝わりにくかったかな。リセは本作の中では冴えない存在だけれど,他の凡庸な作品でなら――ということを考えていました。』

# genesis 『あと,ファルシータの位置づけについて。“Fate/stay night”でいうと,間桐桜と同じ役回りですからね~。「万人の万人に対する闘争」を直視できる人は,そう多くはないですもの。▼ この話題については,ジュブナイル小説との関係から,総括において改めて述べるつもりです。ちなみに私は,黒い桜たんを心から応援してます。』

# hajic 『うーむ、追加のラストCGが恐ろしく強力ですね。何もかも忘れてしまいたくなる。トルタのセリフさえも。』

# 黒胡椒 『>表面的なところに留まってしまった感がある

そうですね、もっとクラーヴェとリセの心のすれ違いと想いの持つ残酷さを描いたほうが良かったですね。例え喉をつぶされようとも……。クラーヴェはそれだけの感情をリセに対して抱いていたわけですから。

>「リセにしか出来ないこと」というのは見当たらない

確かにその通りですね。同人誌だと、ファルに怯えたり。包丁を持ったアルを見てふるえたりそんな役回りになるのかな? S=Rの同人誌って見たことないから何とも言えないけど。

>追加のラストCG

まぁ、でも通常版には通常版の良さもあるし、愛蔵版には愛蔵版リセの良さがある。通常版のリセは愛玩動物系薄幸少女で救いがない。でもそれがキャラの魅力。人気が無いのも薄幸度を高めている。』

# genesis 『にゃあ! ネタバレにならないように気をつけて書いていたんですけれど~ あと,私が持っているのは通常版なんですけれど~ 

――後でひどいよ?』

# 黒胡椒 『ぐは……そうでしたか、ごめんなさい。or2』

# hajic 『にゃあ! そういえば。すみません』

# genesis 『洒落で言っているので,気にしないでください。しかし,愛蔵版でシナリオに修正が加わっているとなると,レビューを書くときには気をつけないといけないなぁ。▼ こうなったら,本文の追記でネタバレ宣言して話を続けます(検索で当所に流れ着いた方を不幸な目にあわせるのは本望ではないので)。』

# genesis 『では,トルティニタ・シナリオはBADルートを辿ったのみという現時点における私の推理(?)を述べておきます。お願いだから,以下の記述については合ってるとか間違ってるとか言わないでくださいね。▼ 解決されるべき課題は(1)降り続く,(2)音の妖精フォーニの存在,(3)双子の姉妹――だと思われます。▼ 最初に浮かんだ疑問は,手紙の配達日でした。アリエッタからの手紙は「毎週日曜日の18時」に届きますよね? ヨーロッパに住んだことがある経験からすると,休みの日の,しかも夕方に通常郵便が届くなんておかしいです。それも,制作者の情報収集不足というのなら分かるのですが,祝日である12月25日(ナターレ)や1月1日にも郵便が来るのは,ちょっと疑ってかからなくてはいけない。▼ そういう疑問の目で眺めると,「が降り続く街」「妖精と暮らしている」という空間そのものの存在が疑わしくなってきます。これがファンタジーの世界で,ごく当たり前に《妖精》が存在しているのだ,ということなら納得したのですけれど。▼ そこそこミステリー(特に綾辻行人)を読んできた経験からすると,こういう場合には《1人称の部分を疑え》というのがセオリーなんですよね。「フォーニクリスにしか見えない」というあたりから推測すると,幻想世界と現実世界が混濁している可能性がある。▼ 確か,最初の方で「主人公は人々に避けられている」「友達が極端に少ない」ことをにおわせる伏線があったと思うのだけれど,これが未だ使われていないのも気に掛かる。出自(家柄)が嫌われている原因かとも思ったのですが,それはリセ・シナリオで使われているので違うみたいだし。これは,提示されている情報が少なすぎてわかりません。▼ 他にも,ミステリィでは《双子が出てきたら入れ替わりを疑え》というのもあります。これを適用すれば手紙の件についてはかなり解決するのですが……。▼ 本文で“ONE”と“ひぐらし”に言及しましたけれど,単独のシナリオだけではなく,枠組み構造についてもシミュラークルなのかも,というのは深読みのしすぎかなぁ。』

# hajic 『一人称というと、実はほとんど全てが一人称ですよ!』

# genesis 『正確には「主観が真実の認識であるとは限らない」のことですけれど。綾辻行人人形館の殺人』,京極夏彦姑獲鳥の夏』,森博嗣夏のレプリカ』――』

# ELEMENTCROW 『はじめまして、こんにちわ。凄く的確なキャラ解析をありがとうございます。確かに、リセシナリオにおいては厚みがありませんね。上で紹介されてるゲームは一応全てこなしていますが、確かに言われてみるとそう感じます。S=Rの同人誌自体数が鬼のように少ないので探すのに苦労しますが、一応一例として自分のブログにリンク張ってるナベ氏の同人誌を持っていますが、イラストのみで漫画は描かれていませんでした。

ヨーロッパ側の現地情報はとても興味ありました、確かにそう言われればそうかもしれません、製作者側での知識不足という点での解決は納得がいきます。

が降り続く」とかまずおかしいですね、当時の時代年数がハッキリとしないので何ともいえませんが、もし産業革命付近なら酸性は避けれません、その場合約1年くらいで建物の外装はボロボロになります。そうでは無くても3年間続けば十分腐食します。ゲームの世界観を考えると明らかにファンタジーな世界であることは否定できませんね。もし、リアリティを追求するならクリスは十度の精神病患者ってことになりますから…。製作者側は実はそんなに考えてないとか思うのは私だけでしょうか? 長々とスミマセン。』

# genesis 『空間の「リアリティ」をどこで獲得するか,という話なのですが。大抵は《要所》だけ抑えておけば足りますけれど,その《要所》の本来的意味を知ってから眺めると「あれ?」ということがあります。特に私は「どことなくヨーロッパ」な雰囲気のするものに対して,過剰反応しますので(笑)▼ 例えば本作の音楽ホール。オーバル(楕円形)のホールで3階席まであるので,典型的なオペラ座の構造です。ピオーヴァ音楽学院声楽だけではなく器楽もあるので,それに合わせて作られた施設としてはちょっと変なのです。建物の外観(の古さ)からすると,伝統的なシューボックス型の方が自然だったりする。▼ 本作は何となくイタリアを感じさせてはいるものの,実際の空間に当てはめると難しいですね。歴史面に限って考えるにしても,郵便制度の始まる1840年より遡ることはありません。同国の貴族制度は1946年の王政廃止とともに廃止されているので,それより後ということもないです。▼ 結論としては,深く考えるな――でしょうか。』

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