無伴奏組曲 《博物士》

unaccompanied suites -genesis-
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Sunday, August 21, 2005

雨の始まり

シンフォニック=レイン』 後奏曲

http://d.hatena.ne.jp/genesis/20050821/p1 からの転記



DPC

 “digital picture collection”(ISBN:B0002WTLLA)。

 うわぁ,これが本体と別に存在している(いた)というのは,大問題ですよ*1。3編のオリジナルノベル(外伝)が収載されているのですが,『の始まり』は“音の妖精”についての物語解釈を左右してしまう代物。

 個人的な感想ですが,「通りがかりの通行人の足にしがみついて移動するフォーニ」なんていう描写をされたら,ますます虫っぽく思えて嫌(^^;

 収録されているイラスト22枚は,いずれも美しい。

Soundtrack

 すっかり気に入ってしまったので,ボーカルアルバム“RAINBOW”を購入。

 トルティニタ中原麻衣)の「秘密」や,フォーニ笠原弘子)の「空の向こうに」などは,ここ一箇月ほど1曲リピートで飽きずに聴き続けています。

シンフォニックレイン ボーカルアルバム「RAINBOW」

 もちろん,岡崎律子さんの唄う“for RITZ”も忘れてはいません。でも,聴いているうちに「涙がほおを流れ」てしまうので,辛いんですよね……*2

 もし,岡崎さんのファンで,このアルバムに特別な想いを持っている人は,是非とも『シンフォニック=レイン』という作品に触れて欲しいと強く願う。この旋律,そしてこの詞は,の降り続く街ピオーヴァの中にあって光り輝くものだと思うから。

For RITZ

postlude :: evangelist

 この作品を評価する言葉を探すために,かなり熱心に評論を読みふけりました。美少女ゲーム運動,ギャルゲー表現,雫の時代,青の時代,内面の発見,傷つける性,主体性を消し去るプレイヤーキャラクター,メタリアルフィクション,物語における観測問題――そうした要素が収斂する場所に2004年がある*3。そして,そこで『シンフォニック=レイン』は生まれ落ちた。でも結局,

それでも、あえていう。これは傑作である。

http://d.hatena.ne.jp/./show-must-go-on/20050119#p1 (kaienさんの過去ログ

この一言で足りました。

 〈ゲームという表現〉が〈ゲームにしかできない〉ものを模索した末,〈プレイヤーの中で収束する物語〉として『シンフォニック=レイン』が奏でられた。これは,聴衆を必要とする交響曲

 これから先,ゲーム評論の場で発言することがあるかもしれません。そのときも私は,福音を伝え続けていくことでしょう。


▼ 追記 (2005/08/22)

 歴史的な位置づけの部分について,反論を頂きました。

 ノベル系ゲームのカウンターとしてそのまま取り上げると、後で禍根を残すように思う。

http://d.hatena.ne.jp/./tdaidouji/20050822#p1

 白状しておくと,私は演奏パートでは即座にESCキー,だったので意識に昇ってません。ADVパートを重視しすぎだというのは,その通りでしょうね。

 もっとも私は,『Fate』や『ひぐらしのなく頃に』は葉鍵系の〈ハイパー・ノベル〉とは別な文法に沿うものと把握しています。2004年は「流れ」そのもののが構造的に変化を起こしたのではないかと見ているので。“S=R”にしても「ノベル系ゲーム」の系譜に押し込もうとしているわけではありません。ゲームシステム(ゲーム性)が重要な役割を果たしているという点において,“YU-NO”や“Ever17”と同じ地平に立つことが出来た希有な例ではないかと理解します*4

 「カウンターをあてた」という表現は不正確だったかな。ハイパーノベルの文法に則した“振り”をすることで成立させているシナリオ構造のことを言いたかったのですが。tdaidoujiさんが〈拡散〉という表現で述べておられることは,私が〈収束〉と言っていることとコインの裏表であるように思えます。私は,「観測者である私」の主観しか問題にしていませんでしたので。

▼ 追記 (2005/08/23)

 観測問題について,エレさんにコメントを送りました。

http://blog.livedoor.jp/element0006/archives/50016977.html

 このエントリーに対しては,コメントおよびトラックバックをいただいております。

http://d.hatena.ne.jp/./genesis/20050821/p1#c

*1:従前別売りであったが,愛蔵版には含まれている。

*2:今,この文章も泣きながら書いているのですが。

*3:流れから抜け出していったものとして,同じ年に“Fate/stay night”が登場した。流れの中に踏みとどまったもののうち,正統を歩んだのが“CLANNAD”で,カウンターをあてたのが“symphonic rain”。こういうゲーム史上の整理でどうだろうか。
 この時代認識を得るに至るまでの経過を記録に書き留めておいたら注目されたということがあったのですが,あれらはトルティニタアリエッタのために調べていた作業の副産物に過ぎません。

*4:“Ever17”は評論を読んでいるだけなので,この位置づけは不正確かもしれません。ただいま取り寄せているところ。

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